羊毛染めと、東北の海色。

木綿のランチョンマットを、藍でグラデーションに染めました。

ランチョンマットを染めた際に、ついでに染めてみた糸です。

左上が麻、左下が木綿、右上が手つむぎの羊毛、右下が市販のウールアルパカ。どれもとても良い色になっています。藍の青って綺麗ですね。

わたしがよく散歩する湾内の漁港はパシフィックグリーンだけれど、やっぱり青い海は美しいものだと思ってしまいます。冬の晴れた日。遠く水平線に見える青。そんな青で海色セーターを編めたらなあと思っています。

そうそう。特に宮城県の外海に面したところや、ちょっと北の方では潮流にもよりますが親潮のブルーがとても美しく、奥松島や女川、御番所公園展望台から望む水平線の青色見たさによくドライブに行きました。女川では311前にはダイビングもしていました。

日本海側では山形の由良の海の透明度がとても有名ですね。東北の海は美しいですよ。

さて、藍染と一言で言っておりますが実は3種類の方法があります。

1つは生葉染め。

これは生の藍の葉をジュースにして、それに浸けて染める方法です。これですと、絹や羊毛はよく染まり、木綿などはあまり染まりません。

2つ目は煮出し染め。

これは生の藍の葉を煮て、その煮汁に酵素を混ぜて染める方法です。これも、動物性繊維以外は染まりません。

3つ目が一般的に藍染と言われている藍建て。

これは工程が複雑です。まず、藍の葉を発酵させて「すくも藍」を作り、そのすくも藍をさらに発酵させてpHを調整して、染料にしたものを使って染める方法です。

藍の生葉には、青色成分のインディゴはインディゴとして存在していないために酵素の力を借りてインドキシルという成分に変えて繊維に染み込ませます。

その後、インドキシルは空気に触れると酸化してインディゴに変化し繊維に定着する、というのが生葉染と煮出し染めです。この二つでは、絹やウールなどたんぱく質は染まりますが、木綿などの植物性の繊維は染まりません。

また、藍の生葉が収穫できる時期にしか染色ができません。藍の保管、運搬のため、絹以外の繊維を染めるために、3のような工程が必要になってくるのです。

3の工程ではまず、すくも藍にする工程で、藍の葉に含まれるインディカンという成分をインディゴに変化させます。インディゴは水に溶けないため、還元してロイコインディゴ(還元インディゴ)にし、繊維に染み込みやすくします。

この工程を藍を建てるといい、約1週間ほどの日数を要するようです。

この液体に繊維を浸けた後、空気に触れ酸化することでロイコインディゴはインディゴに戻り繊維に綺麗な青色が定着するということになります。

生葉染、煮出し染めでは木綿は染まりにくい。

だから藍染はすくも藍として酸化しているインディゴを還元して染料とし、空気に触れさせて綺麗な青に変化させます。

じゃあ、どうやって安定しているインディゴを水に溶ける形にするのか?

その方法には2つあり、自然の力(発酵の力)を借りて行う方法と、化学的に行う方法とがあります。

木灰発酵建てと化学建ての違いは、醸すのか、添加するのか。煮込むのか、スープの素を使うのか。という違いに似ています。

まずは自然の力を借りて行う「木灰発酵建て」

すくも藍、木灰、熱湯を混ぜて7日くらいかけて発酵させる方法です。発酵させることで、すくも藍の溶液には藍還元菌が増えていきます。

この藍還元菌は、アルカリ性の環境を好むので木灰によってpHを整えて増やします。

木灰建で発酵させているため、青が良く肌にも良いのがこの藍です。

次は、化学の力を借りる「化学建て」

原理的には、無酸素状態で強アルカリの染め液を作れば良いので、アルカリ薬品と還元薬品を使って作ります。

アルカリ薬品は苛性ソーダを使うのが一般的のようですが、染め液が危険になってしまうので比較的マイルドなソーダ灰で建てられないか、と考えています。

このように、すくも藍から藍染をするにはちょっと難しいところがありそうですが、今は藍染めキットが発売されており、とても便利に染めることができます。

今回サンプルを染めたのも、こちらのキットを使いました。

次は、すくも藍を使って化学建てをしてみようと思います。

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