その昔、小さい頃は冬が楽しみで仕方ありませんでした。
というのも冬は、海苔の収穫の最盛期。
当時結構多くの家で、海苔を作っていたのではないでしょうか。各家庭に、ちいさな海苔の成形・乾燥工場があったのです。
まだ暗いうちに海苔を摘みにでかけた漁師さんたちが戻る頃
とてもとても寒い冷たい風が吹く浜には、いつも早朝から活気がありました。
摘まれた海苔は早速、見慣れた四角い形に加工されていきます。
海苔の海藻の繊維を洗濯機のような裁断機にかけて細かくして、
和紙をすくのに似た感じで「す」(お料理のす巻に使う、のあの巻き簾より目の細かいプラスチック製のすでした。)に四角くひろげ
乾燥機で乾かします。
海苔を乾燥させるための設備がある工場は冬でも暑いくらいで
潮の匂いに混じって機械の匂いと重油の匂い、それにできたての海苔のかおりがしていました。
なんでも面白く、楽しい。めずらしい。
そんな子ども時代に大人たちが間近でなにかを作る環境に触れられたのは、
すごく貴重なことでした。
美味しい海苔、食べてみたいなあっていうあなた。
コンビニのおにぎりの海苔は安定して美味しいので、気が向いたときにピリッと切り取って味わってみてください。
海藻の香りが好きですきでたまらない方は、焼いていない「乾海苔」「干し海苔」などと言われるものを買って、軽く炙って食べると、それだけでも海の滋味豊かなおつまみになります。
そして乾海苔は、煮溶かして味付けすれば海苔の佃煮も作れる優れものです。海苔は細かく裁断されているので、スプーンですくってご飯に乗せる佃煮ができます。
このセーターは、海苔網にふさふさと成長する海苔をイメージした模様を入れてみました。
海苔の真っ黒、冬のネイビー、伝統的な生成り、どの色でもかっこよく仕上がると思います。
今回は、ダルマ毛糸の「空気をまぜて糸にしたウールアルパカ」を使っています。
とても軽い糸なので、手編みのセーターは重くて・・・という悩みも解消します。
東北の海色セーターは現在編み図修正中ですので、ご参考にご利用ください。